2015年2月アーカイブ

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【PSM山雅戦】エリク・モンバエルツ初陣を見て

開幕を2週間後に控える2/21、沖縄での1次キャンプ、宮崎での2次キャンプを終え横浜へと戻ってきたFマリノスは松本山雅FCとのプレシーズンマッチに臨みました。

新監督エリク・モンバエルツのイントロダクションとも言うべきゲーム、0-1での敗戦という結果になりましたが、皆様の目にはどう映ったのでしょうか。

そんなPSMの印象を項目に分けつつ。

【ノーノッキングフットボール、システムは4-2-3-1ではなく4-2-"4"】

システムは前体制と変わらず、メンバーもFWに離脱者が続発してユースから和田昌士、キャンプでアピールした喜田拓也が抜擢されたことを除けば大きくは変わらず。しかし、明らかに変わったことがある。

アタッカー陣はボールを受けようと、迎え入れるようにポジションを下げるのではなく、常にDFの裏のスペースを意識し、出し手がヘッドアップすると一気にそのスペースへと走りだす。

一人が走りだせば、マークに付いている選手は対応するために付いていく。その動きによってスペースが生まれると、そのスペースを次の選手が使う。

複数の選手が同時多発的かつ連動して裏へのアクションを起こす…これは前体制まではなかった動きであり、エリクが植え付けようとするプレーディティールであることだと疑わない。

スペースへ抜ける動きを強く意識する、ダイヤゴナルであったりウエーブ的なアクションで縦横無尽に移動する…こういったアクションを続けていく結果、攻撃時の各アタッカーのポジションは非常に流動的でオリジナルポジションがあってないような状態に。それこそ「1トップが収める」「サイドアタッカーがタッチライン側に張る」といったシステム的ポジションの役割は余り見られず。ポジションの概念ではなく、スペースを突くアタッカーが『4』枚いるといった印象を強く受けた。

裏へのスペースに抜けるアクションを豊富に起こすことでボールを引き出す、アクションを起こすことで相手を動かしスペースを作る。その結果、ボールを前に動かせる状況を作る。出しどころがなく後方で右往左往する「ノッキング」とは無縁のサッカー、名付けるとすれば「ノーノッキングフットボール」。その印象は決してネガティブなものではなかった。

【高い要求の伴うフットボールは結果につながるか】

標榜しているフットボールは未来を見据えると希望に満ち、非常にポジティブな印象である事は上記の通り。

しかし、要求されるプレーは技術的により難易度が高いとも感じた。

スペースでボールを引き出す。言葉にすると簡単ではあれど、出し手の状況把握、タイミングを合わせた上でのパス出し、その上でランニングとパスのスピードやコースが合致しなければ成功はしない。また、最後の崩しでゴールエリア角で相手DFの前に入りワンツーでフィニッシュを導き出す形が複数回実行されていたが、ワンタッチ・ツータッチの早いパス交換は、走りこむタイミング、パスの強度など、成功のためのプレークオリティはよりシビアに問われる。

絵に描いた餅、ではないけれど、どれだけ高度なフットボールを標榜しようと、選手のプレーレベルが追い付いていなければピッチで表現する事はできない。このゲームでも結果としてゴールは奪えず、シュート数も攻撃頻度を考えれば少ない(11本)
それだけフィニッシュを導き出すだけの攻撃を成功させることは出来なかった。

日常から繰り返し繰り返し練習し、精度を高めていくしかないとはいえ、技術的なレベルの向上に関しては、一朝一夕では難しい。プレーの難易度と成功確率的に結果に繋がりにくいサッカーでもあるのかな、という不安が首をもたげたのも事実である。

【よりシビアに、より速く】

能動的な前線からのプレッシング、そして横浜が誇る抜群の対人能力を持つディフェンダー陣、安定感あるゴールキーピングで最後の砦となるゴールキーパー、全ての努力の上で成し遂げたリーグNo.1の失点数。

しかし、示された攻撃コンセプトを考えると前線からの守備に置いてはなかなか「嵌めづらく」なるのかな、と思ったり。というのも、裏に抜けるアクションを豊富に起こすとなると、相手の後方に入る事が多く、奪われた際には相手の前を塞ぐことが難しくなる。

キャンプレポートで切り替えの意識を高める練習などもあったみたいだけど、まだまだ寄せ切れないところ、塞ぎきれないところは多い。ましてや、4枚が高い位置にポジションを取り、サイドバックも攻撃参加するとなると、ボランチのスペースマネジメントにも限界はある。

特徴的な攻撃コンセプトを携えた中で、どれだけ相手の攻撃を遅らせることが出来るか。高い位置でボールを奪うことはもちろん、カウンター制御という意味でも意義は大きい。守備の安定化にはアタッカー陣がどれだけ意識高く、シビアに、速く相手の前を塞げるかというのは1つのキーとなるのかもしれない。

【支える側の在り方】

改めて、新監督が就任して、新しい概念がもたらされ、新しいチームを作っているという事を感じた試合だった。

しかし、まだまだ構築途上。プレーのクオリティから、攻守のバランス、人選含めて煮詰めていかなければならない部分も多く、その道程は決して平坦ではない。

ローマは一日にして成らず、よろしく、チーム作りも一朝一夕にはいかない。だからこそ、支える側もある一定の時間を与え、許容し、チームが構築されていくプロセスを支えていくことが求められるのではないだろうか。

樋口体制1年目、阿鼻叫喚の10戦勝ちなしという苦しいスタートになったものの、チームが一体となって樋口さんのチーム作りを信じ、我慢し、待ち続けた。その結果、2013年に成果を得ることが出来た。それはどの新体制にも必要な姿勢であって、再びそのプロセスを踏襲することが必要なのかなと、と。

目の前の純然たる結果と未来にある希望、現実と理想の狭間で揺れても、より魅力的なチームになりえる可能性をまずは信じたい。エリクが示したものは間違いなく希望に満ちている。それが形になるかどうかはまた別問題であるにしても、だ。
ともあれ、新シーズンまであと2週間。今はチームの構築が一歩でも速く進むこと、そして新たな離脱者が出ないことを願うばかり。




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